宮城県中小企業家同友会主催 2009経営研究集会
宮城県中小企業家同友会の主催で行われた2009経営研究集会にて弊社社長が 「CSRの追及が会社を変えた!」~“共に分かちあう”かかわりが企業の活力に~という内容でお話をさせて頂きました。
社名の由来 …「良いトスをあげる」
私は前職からコンピュータ業界に関わり40年目になります。
平成4年にイートス(株)を設立し、現在従業員数は68名です。
主な事業内容は、① 地方自治体向けのパッケージソフトの開発・販売、
②インターネット事業、③医療関係のコンサルティング・医療事務請負業務をしています。
わが社の『イートス』の社名の由来はバレーボールから考えました。
「ビジネスのアタッカーたちの厳しい要求にお答えし、良いトスをあげる。
皆さまの縁の下の力持ちになれれば」という意味が込められています。
受託開発からパッケージソフトへの転換
創業から3年が過ぎ、大きな不安を抱えるようになりました。
それは、社員が深夜までボロボロになるまで働いても、僅かな利益しか残らない体質への危機感でした。
当時は最終ユーザーからの受託開発が主で、お客様から要望されたものをそのままつくるという
オリジナルソフトの開発と販売が主な仕事でした。
仕事が決まるまでに時間がかかり、短納期で更に仕事が集中するという悪循環に陥り、
社員は深夜まで過酷な労働環境の中必死に働いていました。
「私は社員がこうなるために会社をつくったのではない。なんとかしたい」と行き着いたのが、
パッケージソフトへの転換でした。
「自分たちで考え開発したソフトをお客様にご理解いただき、使っていただく」という方向へ
切り替えたことで、スケジュールに追われることなく自由な発想で仕事ができるようになり、
社員のやる気も間違いなく上がっていきました。
しかし、会社としては、その間の売上は上がりませんので、開発資金が必要になりました。
私も社員のためだと一大決心をし、この時初めて2,000万円の借入をしました。
実際に口座に入金されるまでは本当にドキドキしていたのを覚えています。
パッケージ事業へ転換をしたものの、これまで以上に、① 技術・業務について勉強すること、
②お客様をお客様以上に知ること、③最新の情報を持っていること、④ 会社も社員も自分たちの
強みをアピールできる体質になることが必要と考えました。
この時から「選び続けられるような会社になりたい」「それはどんな会社か?」
と深く考えるようになりました。
経営理念成文化『ワンストップサービスが提供できる企業を目指す』
創業から5年~6年目に社員と一緒に「こんな会社にしたいよね」という話をしながら 「ワンストップサービスが提供できる企業を目指す」というわが社の経営理念を成文化しました。
ワンストップサービスとはお客さんが困った時に、イートスに連絡すれば解決してもらえるという意味です。
お客様が困った時にわが社を一番はじめに思い出してもらえる企業を目指しています。
しかし、実際には事業領域である自治体向けのソフト開発やインターネット関連以外の
部分ではできないことがたくさんあります。
その場合、仲間の専門の会社と連携し、お客様にサービスを提供しています。
その事例として、ある幼稚園からプール建設の依頼が来たことがあります。
わが社は建設会社ではありませんが、「わが社を頼っていただくお客様の要望を何とか実現したい」と、
信頼している建設会社を紹介させていただきました。
結果、お客様である幼稚園からも建設会社からも感謝のお言葉をいただきました。
他にも役場からの依頼でバスの販売をお手伝いしたこともあります。
これは全てお客様からいただいた声です。
お客様の困りごとからはじまり、結果的に入口と出口を繋ぐ役割を担っています。
この声を意識できるようになったのは、社員と一緒に経営理念を成文化できたからこそだと思います。
また、お客様からわが社のパッケージソフトの良さを教えていただくようになり、
ファンになってくれるお客様の輪も広がっています。
“CSR(企業の社会的責任)” =“お客様に選び続けられる会社”=“社員の成長”
① 社員の成長を願って取り組んだインターンシップ
「お客様に選び続けられる会社とはどんな会社か?」と考えた結果、「社員の成長なしには
実現できない」と思いました。
そこで取り組んだのがインターンシップです。
インターンシップは、学生が社会や仕事を体感する地域の教育を担っている面もありますが、
私の出発は「社員の成長」でした。
当初、社員は非常に嫌がりました。
基本は技術者集団、手間暇がかかり仕事が増えるからです。
しかし、インターンシップだけは「必ずやる」と強引にはじめました。
実際にやってみると学生は不安や希望、具体的な目標を持って会社に来ます。
社員は会社・社会・技術・業務などさまざまな事を聞かれますので、受け入れ側の
社員からすると最大限応えたいと自主的に必要な学習をするようになりました。
現在では社員も学生から感謝されるのが嬉しくて頑張っています。
わが社のインターンシップは最低二週間以上の期間で実施しています。
実際にお客様のところに伺い、営業にも行きます。
学生をお客様化せず、社員と同じことをやってもらうように心がけています。
8月にも4人の学生が来ました。担当は前年インターンシップを経験した新卒の社員です。
インターンシップ生には、最終日のプレゼンテーション発表で社内のみんなから講評を
もらう場を設けていますが、社員も一緒に悩みながらやっていました。
新人社員が担当するわけですから当然失敗をする時もあります。
しかし、学生も担当した社員もお互いに失敗しながら一緒になって悩むことが大切だと考えています。
②インターンシップの取り組みから生まれたわが社の財産
1つ目として、インターンシップを経験した学生がそのまま入社するようになりました。
大学に在学中の2年間、わが社でインターンシップを経験した学生は、
会社のクリスマス家族会の場で突然舞台に上がり、「私は来年イートスの社員になりたいです」と言ってくれました。
また、「入社式にお客様からの注文書をいただいてきます」とも宣言し、入社式当日には宣言どおりいただいてきました。
注文書よりもその気持ちが非常にうれしかったです。
二つ目として、学生からの応募が格段に増えました。現在では日常的にインターンシップ生として 毎年20名以上の学生を受け入れているだけでなく、わが社で働きたいという学生も増えています。
三つ目として、若者の自由な発想が会社の事業に活かされています。
ソフトウェアの開発はもちろん、例えばイベント携帯ゲームというのを携帯電話会社と
一緒に企画しましたが、これはインターンシップの女子学生が考えたものです。
携帯やメールなど実際に使う若者の発想から喜んでいただけるものをみんなで考えています。
③“CSR(企業の社会的責任)”への気付き
「お客様に選び続けられる企業」を目指した取り組みが予想外のところで評価をされ、
日本財団が主催する「市民が選ぶCSRプラス大賞」にノミネートされました。
当時CSRとは大企業がやるものでボランティアの一環としか考えていませんでした。
しかし、CSRとは簡単に言えば近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の
考え方であり、これは全て会社が良くなることにつながっているのです。
私は、お客様に選び続けられる会社とは、良い会社であり、社員が生き生きと仕事を
している会社だと考えます。
決して特別なことではなく、会社が良くなることこそがCSRだと考えるようになりました。
以前から取り組んでいたインターンシップや、社員のアイディアから生まれたインターネット事業の
『エニータウン(地域活性化をめざしたポータルサイト)』や『エニリサ(ネット上のアンケートで
会員数は22,000人以上。アンケートに答えていただいた方へのポイントの一割は交通遺児のために
使われる)』、環境問題への『エコ魂(CO2の排出量を求めるソフト)』などは結果としてCSRの
追求であり、経営理念をベースにしたCSRの考え方が社員の仕事に活かされ、地域に貢献している
実感を得られるようになってきたと思います。
社員が企業家となるイートスビジョン
わが社の採用は通年募集にしています。
採用を補充と考えていないからです。
補充とは間に合わせるということです。
それは採用する側もされる側も不幸です。
わが社ではいつでも良い人に来ていただけるようにしています。
イートスビジョンの一つとしては、「会社として全面的にバックアップするから、
社員全員が社長になって欲しい。
自分で育てたパッケージソフトも独立する時は持っていって良い」と伝えています。
社員が社長となって、イートスと同じように若者の力で結果的に地域の雇用が増えることは、
地域にとって一番の貢献となるのではないかと考えています。
以上のような夢を持って、社員と共に歩んでいきます。







